「え、来月から海外赴任?」
突然の辞令に、頭が真っ白になった方も多いのではないでしょうか。
せっかくのキャリアチャンスなのに、英語への不安で素直に喜べない。「現地でまともに仕事ができるだろうか」「会議で何も言えなかったらどうしよう」そんな焦りが次々と湧いてくる……。
この記事を書いているのは、かつてまったく同じ状況で海外赴任を経験した筆者です。英語力が十分でないまま赴任し、数々の失敗を経て感じたのは、「事前の準備の差がそのまま現地での自信の差になる」ということ。
英語がゼロでも、3ヶ月の正しい準備で「なんとか仕事になる」レベルには到達できます。
今回は、赴任前にやるべきことをフェーズ別のチェックリスト形式で徹底解説します。
なぜ「英語ができない」のに海外赴任になるのか
まず、あなたが罪悪感を持つ必要はありません。実は、英語力を理由に赴任を断ることは日本企業ではほとんど難しく、多くの駐在員が「英語に自信がないまま」現地に飛び込んでいるのが実態です。
パーソル総合研究所の調査(2023年)によれば、海外駐在経験者の約56%が「赴任前の英語力に自信がなかった」と回答しています。つまり、英語が不安なのはあなただけではありません。
問題は英語力の有無よりも、「準備の質」です。赴任前の数ヶ月をどう使うかが、現地での最初の半年を大きく左右します。
完璧な英語力ではなく、「現場で使える最低限の英語」を目指してください。
【フェーズ1】赴任3ヶ月前にやること:基礎の土台を作る
「3ヶ月もある」と思いがちですが、実際には引越し準備、各種手続き、業務の引き継ぎで時間は消えていきます。今すぐ始めましょう。
✅ 現在の英語力を正直に把握する
TOEICの模擬試験(アプリや無料問題集でOK)を1回解いて、スコアを確認してください。目安として:
- 〜400点:中学英語の復習から
- 400〜600点:ビジネス頻出フレーズの暗記にシフト
- 600点〜:スピーキングとリスニングの実践練習に集中
まずスタートラインを知ることで、限られた時間の使い方が変わります。
✅ 中学英語の「型」を30分で復習する
英語の不安の根本は、「文を作る型」が体に入っていないことです。主語+動詞の語順、疑問文、否定文──これだけを「NHKラジオ英会話」や「基礎英語」で復習するだけで、スピーキングの土台ができます。
1日30分、通勤中に音声を聴くだけでも効果は出ます。
✅ 赴任先の「仕事英語」を集める
業種・職種によって使う英語はまったく異なります。たとえば製造業なら「production schedule(生産計画)」「quality control(品質管理)」、営業なら「proposal(提案書)」「budget(予算)」がキーワードになります。
現在の仕事で使う日本語の専門用語を20〜30語、英語に変換してリスト化してください。これが赴任後の「自分専用フレーズ集」の出発点になります。
✅ オンライン英会話を週3回以上スタートする
スピーキングは座学では絶対に伸びません。フィリピン人講師のオンライン英会話(Cambly、ネイティブキャンプなど)を週3回、1回25分でいいので始めてください。最初はたどたどしくて当然です。「話し続ける筋肉」をつけることが目的です。
【フェーズ2】赴任1ヶ月前にやること:「使える英語」に絞り込む
引き継ぎが本格化するこの時期は、学習に割ける時間が一気に減ります。だからこそ「やらないことを決める」フェーズです。
✅ 自己紹介を完璧にする
赴任後、必ず何十回もする自己紹介。名前、出身、仕事の経歴、家族構成、趣味──この5項目を英語で言えるように練習してください。
「Nice to meet you. My name is Shota Konishi. I’m from Osaka, Japan. I’ve been working in the marketing department for 8 years. I’m really looking forward to working with you.」
このレベルを流れるように言えるまで繰り返す。これだけで最初の印象は大きく変わります。
✅ 会議の定番フレーズ15個を暗記する
海外の会議で困るのは「英語力」より「その場のルール」です。以下のフレーズを体に入れるだけで、発言できるようになります。
- 「Could you say that again, please?」(もう一度言っていただけますか)
- 「I agree with your point.」(おっしゃる通りです)
- 「Could I add something here?」(少し付け加えてもよいですか)
- 「I’ll get back to you on that.」(後ほど確認してご連絡します)
- 「What’s the deadline for this?」(これの締め切りはいつですか)
「完璧な英語」より「使えるフレーズ」を15個持っていることのほうが、よほど武器になります。
✅ 「聞き返しフレーズ」を迷わず使えるようにする
英語が聞き取れなかったとき、日本人が一番やってしまうのが「わかったふりをして頷く」こと。これは後でトラブルの原因になります。
「I’m sorry, could you speak more slowly?」「Could you write that down for me?」この2フレーズだけで、会話の流れを止めずに状況を打開できます。
✅ 現地の同僚・上司にメールを1本送る
可能であれば、赴任前に現地の受け入れ担当者に英語でメールを1通送ってみてください。「赴任を楽しみにしている」「よろしくお願いしたい」という内容で十分です。ChatGPTを使って下書きを作り、自分で確認して送ることで、ビジネスメールの実践練習にもなります。
【フェーズ3】赴任2週間前にやること:メンタルと環境を整える
✅ 「英語は道具」という意識に切り替える
多くの日本人が英語を「試験科目」として学んできたため、「正しく話さなければ」というプレッシャーが強すぎます。でも海外の職場で求められるのは、完璧な文法ではなく「意図が伝わること」です。
英語はあなたの仕事を動かすための道具です。道具は、使い続けることでしか上手くなりません。
✅ 英語学習アプリを生活に組み込む
Duolingo、Anki、Speak──これらのアプリを使って、歯磨きや移動中の「ついでの10分」を英語時間に変えてください。赴任後も継続できる仕組みを赴任前から作っておくことが大切です。
✅ 「緊急時フレーズ集」を1枚にまとめて印刷する
体調不良、道に迷った、仕事のトラブル──いざというとき頭は真っ白になります。緊急時に使う英語フレーズ(病院での説明、助けを求める言葉など)をA4用紙1枚にまとめ、スマホにも保存しておきましょう。
赴任後も続けるために:現地でやること
準備はここで終わりではありません。現地に着いてからの最初の1ヶ月が、英語力の伸びを大きく左右します。
- ランチは現地の同僚と一緒に食べる:雑談の英語が一番伸びます
- わからなかった表現をその日のうちにメモする:現地での「生きた英語」がそのまま学習素材になります
- 週1回、自分の英語を振り返る時間を作る:うまくいったこと・失敗したことを記録することで成長が実感できます
英語は赴任前だけで完成するものではありません。現地での失敗こそが最高の教材です。
まとめ:3ヶ月の準備が赴任後の自信を作る
今回の内容をまとめます。
- 3ヶ月前:英語力を把握→中学英語の復習→仕事英語リスト作成→オンライン英会話スタート
- 1ヶ月前:自己紹介を完璧に→会議フレーズ15個を暗記→聞き返しフレーズを習得→現地へのメール1本
- 2週間前:英語は道具と意識転換→学習アプリを生活に組み込む→緊急時フレーズ集を作成
赴任が決まった瞬間は誰でも不安です。でも、「何をすればいいか」がわかれば、不安は行動に変えられます。
完璧な英語は必要ありません。「なんとか伝わる」英語を武器に、赴任先での新しいキャリアを切り開いてください。
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