「毎朝の通勤電車で30分、英語のポッドキャストを聞いている。もう半年以上続けている。でも、全然聞き取れるようにならない…」
こんな経験、ありませんか?
英語学習に真面目に取り組んでいる社会人ほど、この壁にぶつかります。時間をかけているのに成果が出ない。これほど心が折れることはありません。
でも、結論から言います。リスニングが伸びないのは、あなたの努力が足りないのではありません。やり方に問題があるだけです。
この記事では、忙しい社会人がやりがちなリスニングのNG習慣を5つのチェックリスト形式でご紹介します。自分が当てはまるものを確認して、今日から改善していきましょう。
まず知っておきたい:「聞く」と「聞き取る」はまったく別の行為
リスニングが伸びない根本的な原因を理解するために、まず脳の仕組みを少し知っておく必要があります。
英語を「聞く(hearing)」というのは、耳から音が入ってくることです。一方、「聞き取る(listening)」とは、脳が音を言語として認識し、意味を理解するプロセスです。
人間の脳は、意識的に処理しようとしていない情報を「雑音」として処理します。つまり、ただ英語を流しているだけでは、脳は英語を「理解すべき言語」ではなく「背景の音」として処理してしまうのです。
これを知ると、「毎日聞いているのに伸びない」の答えが見えてきます。聞いてはいるけれど、脳が英語を処理していないのです。
チェックリスト:あなたはいくつ当てはまりますか?
以下の5つのNG習慣、自分に当てはまるものに✓をつけてみてください。
NG習慣① 「聞き流し」だけで精聴をしていない
□ 英語を流しながら他のことをしていることが多い
□ 「なんとなく聞こえた」で満足している
□ 同じ音声を繰り返し聞いたことがほとんどない
リスニング学習には「多聴(たくさん聞く)」と「精聴(じっくり聞く)」の2種類があります。
多聴は英語の音に慣れる効果がありますが、それだけでは英語を「理解する力」は伸びません。脳に「この音はこういう意味だ」と覚えさせるには、意味や文法構造を意識しながら聞く「精聴」が不可欠です。
音楽を流しているだけでは楽器が弾けるようにならないのと同じです。
精聴のやり方は簡単です。短い音声(30秒〜1分)を選び、何度も聞き返しながら「すべての単語が聞き取れているか」を確認する。これを1日10分続けるだけで、半年後の聞こえ方がまったく変わります。
NG習慣② 知らない単語・表現を放置したまま聞き続けている
□ 知らない単語が出てきても調べずに聞き流している
□ 音声の内容を日本語で理解できていないことがある
□ スクリプト(原稿)を見たことがほとんどない
これは非常によくある落とし穴です。知らない単語が含まれた文章は、どれだけ繰り返し聞いても聞き取れません。なぜなら、脳は「意味不明な音の塊」として処理してしまうからです。
リスニングは、実はボキャブラリーと読解力の裏返しです。同じ文章を読んで即座に理解できるレベルになって初めて、聞いても理解できるようになります。
「聞いてわかる」ためには、まず「読んでわかる」が前提条件です。
実践するのはシンプルです。音声を聞く前にスクリプトを確認し、知らない単語を調べてから聞く。これをするだけで、同じ1時間の学習効果が大きく変わります。
NG習慣③ 発音を知らないまま単語を暗記している
□ 英単語を「目で見て」覚えていることが多い
□ 単語を見ると意味はわかるが、音として認識できないものがある
□ 発音記号を読むのが苦手、または読んだことがない
日本の英語教育では、単語を「見て覚える」ことが中心です。その結果、多くの社会人は「目では読めるけど音としては認識できない単語」を大量に抱えています。
たとえば「enough」を「イノウフ」と頭の中で読んでいたとしたら、ネイティブが「イナフ」と言っても聞き取れません。
自分が正しく発音できない単語は、聞き取ることもできない。これはリスニングの鉄則です。
英単語を新たに覚えるときは、必ず音声を確認して「正しい発音」も一緒にインプットしましょう。辞書アプリの音声機能や、Forvo(ネイティブの発音が聞けるサービス)を活用するのがおすすめです。
NG習慣④ 日本語字幕・日本語訳に頼りすぎている
□ 英語の動画を見るとき、日本語字幕をオンにしている
□ 日本語訳を確認してから英語を聞くことが多い
□ 英語だけで内容を理解しようとしたことがほとんどない
日本語訳や字幕は、学習の補助として有効です。ただし、依存しすぎると「日本語で理解してしまうクセ」がつき、英語を英語のまま処理する力が育ちません。
脳は楽な方法に流れます。日本語訳が目に入ると、英語音声を処理しなくても意味がわかるため、英語への集中力が下がってしまうのです。
日本語訳は「確認用」。理解のメインルートは英語音声にしましょう。
おすすめの練習法は「英語字幕 → 英語字幕なし → 確認」の3ステップです。まず英語字幕でテキストと音を一致させ、次に字幕なしで聞いてみる。最後に日本語訳で内容を確認する。この順番で進めると、英語脳が少しずつ育っていきます。
NG習慣⑤ 自分のレベルより明らかに難しい音源を使っている
□ CNNやBBCのニュースを毎日聞いているが、理解度は30%以下
□ 「難しい素材を聞いていれば慣れる」と信じている
□ 聞きながらストレスを感じることが多い
「難しい素材で鍛えた方が早く上達する」と思っている方は多いですが、これは逆効果になりやすいです。
脳は理解できない情報を処理しつづけると、やがて「処理をやめる」ようになります。これが「英語を聞いても頭に入らない」状態です。理解度が70〜80%程度の素材を使った学習が最も効率的だということが、言語習得研究でも示されています。
「少し頑張れば理解できる」が、リスニング力を最も効率よく伸ばすゾーンです。
ニュース系を聞くなら、NHK World(英語ニュースだが比較的ゆっくり明瞭)やVOA Learning English(初〜中級者向けにゆっくり話すアメリカの公共ラジオ)から始めるのがおすすめです。
チェック結果:あなたはいくつ当てはまりましたか?
0〜1個:リスニング習慣は比較的良好です。あとは継続あるのみ。
2〜3個:一部の習慣が足を引っ張っています。当てはまった項目から改善しましょう。
4〜5個:今の学習法を見直すチャンスです。小さな変化が大きな差を生みます。
今日からできる改善アクション3つ
「何から始めればいいかわからない」という方のために、今日から実践できる具体的なアクションを3つに絞りました。
アクション① 今使っている音源のスクリプトを確認する(所要時間:5分)
今日聞いた音声のスクリプト(原稿・字幕)をひとつ探してみてください。知らない単語があれば3つだけ調べる。たったこれだけで、同じ音源を聞き直したときの聞こえ方が変わります。
アクション② 30秒の「精聴タイム」を設ける(所要時間:10分)
好きなポッドキャストやYouTube動画を開いて、最初の30秒だけを何度も繰り返し聞いてみてください。「全部の単語が聞き取れるか」を意識しながら聞くのがポイントです。完璧でなくてOK。この「意識して聞く」習慣が精聴の第一歩です。
アクション③ 音源のレベルを一段階下げてみる(所要時間:即日)
今聞いているコンテンツの難易度を見直してみましょう。聞きながらストレスを感じているなら、それはオーバーレベルのサインです。VOA Learning EnglishやNHK World Radioなど、ひとつ下のレベルの素材を1週間試してみてください。
精聴と多聴のバランスが鍵
上手にリスニング力を伸ばしている人は、「精聴」と「多聴」をうまく使い分けています。
週のリスニング時間が1時間あるとしたら、20〜30分を精聴(じっくり聞く)、残りを多聴(流し聞き)に割くのが理想的なバランスです。
忙しい社会人でも、通勤時間を多聴に、就寝前の10分を精聴に充てるだけで、このバランスが実現できます。大切なのは、「聞き流しているだけ」の時間をゼロにすること。それだけで、半年後の英語力は大きく変わっています。
まとめ:伸びないのはやり方の問題。今日から変えられる
リスニングが伸びない5つのNG習慣をまとめます。
- 聞き流しだけで精聴をしていない
- 知らない単語を放置したまま聞き続けている
- 発音を知らないまま単語を覚えている
- 日本語字幕・日本語訳に頼りすぎている
- 自分のレベルより難しい音源を使っている
これらのNG習慣を改善するには、大きな時間は必要ありません。今日の通勤帰り、スマホで音声を聞くとき、「意識して聞く10分」をたった1回試してみてください。それが、リスニング力を変える最初の一歩です。
英語学習の全体的な進め方については、こちらの記事もあわせてご覧ください。


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